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コンサルタントコラム

厨房設計コンサルタントが教える 繁盛店づくりの視点〈第6回・物件選び〉立地調査で競合店以外にチェックすべきもの

2020/01/13

飲食店の開業で、頭を悩ませることの一つが物件選びではないでしょうか。
今回は、この物件選びについてお話をしたいと思います。

まずは出店エリアを含めた、店の立地について。「ここ」と狙いを定めた地域に、どんな人が暮らしていて、どんな人が通りかかるのか。また、来店してほしいお客様がいる立地なのかどうか。平日、休日の昼夜を通して自身の目でマーケットリサーチを行いましょう。移動販売でもない限り、店の場所は簡単には動かせません。大切な資金を投じて店を構える場所ですから、「こんなはずではなかった」と開店後に後悔しないよう、納得のいくまで調査をすることをお勧めします。

立地を調査するときの視点を二つお伝えします。まず、競合する飲食店だけでなく、その地域で流行っている飲食店以外の店の客層も見るようにしてください。例えば、女性客が好みそうな洒落た雑貨屋やセレクトショップ、美容院があるとか、若い客層が多く訪れるドラッグストアや大手量販店がある、などです。自店がターゲットとする客層と同じ層を集めている店が周辺にあれば、あなたの店に来店してもらえる可能性が高まります。

逆に、競合する飲食店が多いことは、その立地をあきらめる決定打にはなりません。例えば、大手チェーンのカフェは、ほとんどが駅前や大通りの目につきやすい場所などにあります。そういった店の周辺には、同様のコンセプトのカフェが出店しているケースが多いです。競合店が近くにあると、お客様の取り合いになってしまうのではないかと考えがちですが、ニーズが一致しているお客様がそのエリアに多く集まるわけですから、商品力などに自信があれば、同じ業態で勝負をする価値はあります。

不動産業者を活用しよう

エリアが絞れたら、あとはどうやって優良物件の情報を手に入れるかがポイントとなります。そのためにはアナログ的ではありますが、そのエリアの店舗物件を多く扱っている不動産業者に足繁く通い、こまめに連絡を取り合って仲良くしておくことが大切です。
不動産業者は、その街のプロです。人の流れを変えかねない再開発の予定であるとか、「あの地域は、真冬になると冷たい風が直接吹き付けるので、昼間でも人通りが少ない」といった、地域に根差して営業を続けている業者ならではの、生きた情報を入手できるかもしれません。不動産業者には多くの物件情報が集まります。良い関係性をつくっておけば、退去予定の物件や空きが出た物件の情報を、一般に公開される前に教えてくれることもあります。

もちろん、良い立地さえ押さえられれば必ず繁盛店にできるわけではありません。まずは自身がやりたい店のコンセプトをしっかりと固めたうえで、それに対するハード的な要件として物件を探すのが望ましいです。

居抜き物件は慎重にチェック

初期投資を抑えるために居抜き物件を選ぼうと考えている方も多いと思います。居抜き専門の不動産業者も多く、需要は年々高まっています。居抜き物件は、業態が同じ、あるいは似ている場合は厨房設備がそのまま使えるなどのメリットがあることも確かですが、場合によっては想定外のコストがかかることもあるため注意が必要です。

盲点となりがちなのが「造作譲渡」と呼ばれる契約形態です。居抜きの店舗を取得する場合に、保証金や礼金のほか、内部の造作や備品を買い受けるための譲渡料がかかることがあります。厨房機器など、譲渡対象となる設備や機器が十分に使える状態であれば問題ないのですが、古すぎて使えない場合は、処分料が余分にかかってしまいます。厨房設備は店ができてから何年経っているかが大切です。設備が古いと、いざ開業しても排水が詰まるとか、機器が故障するなどのトラブルが起きることも多いのです。

また、物件選びでは、見えているものよりも、隠れているものの方が重要です。天井に収納されているダクトや配線、床下の排水設備などです。お店をすでに何店か手がけた経営者でも、「このシンクを反対の場所に動かせないか」などと平気でおっしゃる方がいます。シンクの下には排水管などの水回り設備があり、コンロの上にはダクトがあります。
そういった設備の位置を変えるとなると大工事になりますし、建物によっては変更できないこともあります。導入予定の厨房機器が決まっているのであれば、それらの機器や設備の使用条件と、物件の設備がマッチしているかどうかもぜひチェックしてください。

当コラムについては2019年8月6日に株式会社フジマック様WEBサイトにて掲載した情報を引用しております。

 

NRTシステム代表取締役畑 治(はた・おさむ)

1959年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学工学部を卒業後、フードサービス企業やフードサービスのコンサルティング企業などを経て、2002年に厨房設計コンサルティング業務を手掛けるNRTシステムに入社。2010年に代表取締役に就任。モットーは「日本の厨房を良くしよう!」