Column

コンサルタントコラム

厨房設計コンサルタントが教える 繁盛店づくりの視点〈第7回・人材確保〉いまどきの若者を戦力に変えるために

2020/01/20

シリーズ第2回では、「優秀な人材がなかなか集まらない」との飲食店経営における課題に対して、「うちの店で働くと楽しいよと語ろう」とお話ししました。やはりお客様の満足度を高めるためには、良い人材を多く確保することが大きなカギとなります。そこで今回は、採用したスタッフ、とりわけパートやアルバイトの中心となる若いスタッフに、お店の戦力として長く働いてもらうためのコツをご紹介しましょう。

「いまどきの若手スタッフが、何を考えているのかよく分からない。ちょっと叱っただけですぐに辞めてしまう」。そんな悩みを持つ経営者は多いようです。飲食店以外の業種でも、こんな声をよく耳にします。

しかし、かつての自分を思い起こしてみてください。皆さんが仕事を始めたばかりの頃も、上司や先輩と考え方の違いやギャップがあったのではないでしょうか。「いまどきの若いモンは」と言われて腹を立てた覚えはありませんか。

世代が違えば、仕事やライフスタイルに求めるものや価値観が異なるのは当然のこと。その違いをネガティブに捉えるのではなく、今の若者の気質や特性を知り、受け入れて上手に使うことが才覚ある経営者の第一歩と言えるでしょう。

最近の経営者世代が最も違和感を覚えるのが、「自分自身の時間的な余裕」を求めるスタッフが多くなったことです。例えば、採用時の条件においても、「完全週休二日制」や「有給取得制度」などが重視される傾向にあります。こういった人たちは、残業などの時間外労働や、職場仲間での飲み会に対する拒否反応も強く、仕事がらみで余計な時間を費やすことにはネガティブです。

業務として指示されたことはきっちりとこなすが、それ以外のことはやろうとしないのも、その背景には「自分の時間を奪われたくない」との考えがあるからでしょう。「飲食店は、忙しいのが当たり前」「自分が若い頃は、調理の技術を上げるために営業後も残って練習を積んでいたのに」という方にとっては信じがたいことだと思います。

「失敗したくない」という思いが強いことも、求められた以上には働かない若者が多いことの理由の一つです。ちょっと叱るだけで店に来なくなるなど、打たれ弱いと感じられる面もありますが、よく言えば素直で、言われたことはきっちりする若者が多い。そういった若者の気質をまずは認識して接することが経営者には必要なのです。

SNSを連絡に使ってみる

では、そういったスタッフたちを長く働ける人材として育てていくにはどうしたらよいのでしょうか。

一つは、「変えようとするのではなく、合わせる」ことです。例えば、最近ではコミュニケーションツールとして浸透しているソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用するのも効果的です。「病気などで急に仕事に穴をあけることになったら、電話で連絡を入れるべき」と考えるのは経営者側の常識であって、いまどきの若者には通用しません。なぜなら、彼らにとって一般的なコミュニケーション手段はSNSだからです。

若者の間ではLINEやInstagramなどが日常生活で浸透しており、前述のような病欠の連絡ですらLINEで済ませる傾向にあります。そこには肉声で直接おわびをしないのは失礼だといった考え方は存在しません。悪意はなく、その方がむしろ合理的だと考えているのです。ならばいっそのこと、仕事の連絡手段をLINEにシフトしてしまいましょう。あるお店では、経営者とスタッフでLINEのグループをつくり、連絡を取り合っています。

また、現代の若者たちは、いわゆる昔ながらの飲みニュケーションのような密な接し方を敬遠するケースが多いようです。それを、無理やりこちらの価値観で縛ろうと思ってもギャップは広がるばかりですから、若者たちのスタイルに歩み寄ることで店のチーム力を高めていくのが良いでしょう。

その場合、先に述べたSNSのグループ機能をただ使うだけではなく、そのグループに入ることでスタッフにも何らかのメリットがあることを理解させるように心がけます。例えば、シェフがお店の新メニューのレシピをスタッフに向けて発信するとか、予約状況を共有するなどです。本来は彼らにとって面倒な仕事上の付き合いのためのグループでも、「これでやりとりすると自分にとっても得である」と思ってもらうことが大切です。

最近は外国人スタッフを採用する飲食店も多くなっています。人手不足が進む中、外国人スタッフを採用する機会はさらに増えていくと思いますので、彼らには「日本ならではのおもてなし」のスタイルを理解してもらい、語学、従業員内のコミュニケーションも含めて教育していくことが必要です。彼らは同郷出身者同士でコミュニティーをつくっています。優秀な人材がいたら、その友人にも声をかけてもらうとよいでしょう。「飲食業界で、外国人スタッフにどうやって活躍してもらうか」をテーマにした業界団体の講座やマニュアル、情報提供をするサービスも徐々に増えていますので、そういったものを利用するのも一つの手だと思います。

当コラムについては2019年8月13日に株式会社フジマック様WEBサイトにて掲載した情報を引用しております。

 

NRTシステム代表取締役畑 治(はた・おさむ)

1959年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学工学部を卒業後、フードサービス企業やフードサービスのコンサルティング企業などを経て、2002年に厨房設計コンサルティング業務を手掛けるNRTシステムに入社。2010年に代表取締役に就任。モットーは「日本の厨房を良くしよう!」